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2010年 03月 22日

ギャンブル狂時代(第七話) DICO2001作【不定期コラボ連載】

「あの写真は…?」
「ああ、あれは死んだお袋だよ。
今の会社に入る前に死んだんだ、病気でな」
その人は優しげに微笑んでいた。
「親父はオレが小さい頃に死んでしまったし、
姉貴もいいとこに片づいたから、ま、気楽な天涯孤独だな」
こうして私的なことをしみじみと語るコウジの姿を、
ヨシオは初めて見るような気がした。

「…そうだったんですか。優しそうな人ですね」
「ああ。優しかったし、それに強い人だった。
…オレは中学ぐらいの頃からグレ始めて、
高校を半年足らずで中退した頃には、もう手がつけられないワルになってた。
その頃は力こそがすべてだと信じてた。
所詮世の中は弱肉強食なんだって」
「今の先輩からは想像つかないですね」
「…オレ自身も夢だったような気がするよ。
…そんなある日、ケンかした相手に、ずっと障害が残るような大ケガをさせてしまったんだ。
警察に駆けつけたお袋は凄い形相でオレに詰めよったよ。
人様を片輪にするような人間に育ててしまったのは自分の責任だから、
ここでお前を殺して自分も死ぬってな。
あの時のお袋のことは一生忘れることができない…」〈つづく〉
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※表現の一部に差別用語とされている語句が含まれていますが、
内容等から判断し使用いたしましたことを、どうかご容赦ください。
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by casta6c | 2010-03-22 12:30 | iPhone | Comments(6)
2010年 03月 21日

ギャンブル狂時代(第六話) DICO2001作【不定期コラボ連載】

──やがて、すべてが綻び始めた。

生活、仕事、人間関係…、
どれひとつとっても、正常なものなどない。

滞りがちだった借金の返済は破綻しかけていた。
開けるのも恐ろしいほどポストは督促状だらけだったし、
すでに法的手段に出た業者もあった。
水道、ガス、電気はまともに来ていることの方が少なく、
半年以上も家賃を滞納したアパートの大家は、
強制退去も辞さない構えだった。
そんな状況が職場でも知れるところとなり、
同僚や上司の自分に対する態度が一変した。

「お前のことが噂になってるぞ」
ヨシオへの態度が一切変わらなかったコウジが声をかけた。
「もう、どうだっていいんですよ」
ヨシオは弱々しく応えた。
「……ヨシオ、今晩オレんとこ泊まりに来いよ」
「え?」
「大事な話しがあるんだ、アルコール抜きでな。風呂も入ってけ」
いつになく真剣なコウジの口調に、ヨシオはそれを了解した。

コウジのアパートは決して広くはないが、
それでもきれいに片づいていた。
部屋のすみにある整理ダンスの上に、花が添えらた小さな写真立てがあった。〈つづく〉
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by casta6c | 2010-03-21 21:33 | iPhone | Comments(4)
2010年 03月 20日

パパ荒川 with BLAVE HEART 半田コンサート

ああ、愛知に行くって。このことだったのね。
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愛知方面の方はぜひ。
それと写真使ってくれて、ありがとう。
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by casta6c | 2010-03-20 14:25 | その他
2010年 03月 20日

ギャンブル狂時代(第五話) DICO2001作【不定期コラボ連載】

脳髄をダイレクトに刺激する電子音、
狂ったように激しく瞬くフラッシュライト。
人々の悦楽や絶望を、熱に浮かれたような喧騒が呑み込んでいた。

ここには、奪う者と奪われる者が共存し、
驚くほどの短時間で、激しく財布の中身が行き来する。
好調であればあるほど、限りなく欲深く狡猾に、
低調であればあるほど、滑稽なまでに愚かで稚拙になっていく。
表面的にはとり繕っているつもりでも、本性が見え隠れしてくる。
欲深く狡猾で、愚かで稚拙な人間の本性が…。

ここには人生の縮図があるかのようだ。

あれほど自己嫌悪に陥っていたヨシオだったが、
二日酔いから醒めるころには、この慣れ親しんだ場所にいた。
何故なら彼が現実逃避することができる聖域は、もうここだけなのだから。

自分だけは、常に冷静さを保つ自信があった。
自分だけは、やめようと思えばいつだってやめられる自信があった。
自分の考えが甘かったことに、今更のように怒りと戦慄を覚えていた。〈つづく〉

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by casta6c | 2010-03-20 11:02 | iPhone | Comments(8)